令和2年9月8日
一般社団法人
日本フランチャイズチェーン協会
会長 渡辺 裕明 様
コンビニ加盟店ユニオン
執行委員長 酒井孝典
要望書
去る3月6日に日本フランチャイズチェーン協会に宛てて「緊急の時短営業の許可及び加盟店支援に関する要望書」を提出させていただきましたが、その後各チェーン本部により感謝金・見舞金の支給、感染防止物資の支給、奨励金の減額無しでの時短営業の許可、特別の融資等、私たちの要望にご対応いただいたことに、まずは感謝申し上げます。
新型コロナウイルスの影響につきましては、未だ楽観できる状況にはなく、引き続いてのご支援をお願い申し上げます。
さて、今月2日に公正取引委員会より「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」が公表されました。私たちコンビニ加盟店ユニオンといたしましても、結成以来10年余りの間、活動の一環として、およそ2年に1度の周期で公取委にご参加いただき移動相談会を開いて、コンビニの抱える諸問題について説明させていただいて参りました。近年では過剰出店による1店舗当たりの売上の頭打ちの状況や、人件費の高騰をデータで示させていただいたり、昨年6月の相談会では社会情勢の変化による24時間営業の維持の困難さをお伝えしました。今回の報告書では私たちのこれまで相談内容がほぼ網羅され、また多数のアンケート調査結果によりそれらが裏付けられたとものと認識いたしております。
各チェーン本部におかれましては、実態調査報告書の中の特に以下の点について自主点検及び改善を行い真摯な回答をお願い申し上げます。
⑴募集時の説明と実際の差異
フランチャイズ契約締結時に既存の加盟店の経営状況が分かる定量的な情報を本部が適切に開示することの義務付けを検討すべきではないか。
⑵仕入数量の強制
「不本意な仕入れを強制され,応じなければ契約更新で きないと言われた。」「解約すると言われ過剰な商品の発注をせざるを得なかった。」等の報告がある。
(3見切り販売の制限
「見切り販売をしたら契約を更新しない・契約 を解除すると言われた。」という報告がある。見切り販売は可能だが,かなり時間の掛かる方法のためほとんどの店舗が行えない状態である。
⑷年中無休・24時間営業
本部に24時間営業をやめたい旨を伝えているオーナー の8.7%が「(本部が)交渉に応じていない(交渉自体を拒絶している)」と回 答している。
⑸ドミナント出店
加盟契約において周辺地域への 出店時には「配慮する」旨を定める場合には,その具体的内容についてあらかじめ加盟者に開示すべきではないか。
併せて、本年2月に公表され、公正取引委員会もオブザーバーとして参加されていた『「新たなコンビニのあり方検討会」報告書』の中から以下の本部と加盟店の関係のあり方に関する提言についての各チェーン本部の考え方を本年11月末迄にご回答お願い申し上げます。(鍵括弧内は同報告書からの抜粋)
⑴本部が人件費の上昇分を一部負担できる枠組みへの変更
「本部と加盟店のコスト分担のあり方を見直し、本部が人件費の上昇分を一部負担できる枠組みを用意することが一部のチェーンによって検討されているが、こうした取り組みがさらに広がっていくことも期待されるところである」
⑵廃棄に係るリスクやコストの本部と加盟店の間での分担の見直し
「廃棄に係るリスクやコストの本部と加盟店の間での分担が適切になされなければ、廃棄を減らすインセンティブが働かなくなるのではないかとの指摘が本検討会で見られたところであり、廃棄の取扱いについて現行の手法を見直すことも検討に値するのではないかと考えられる」
⑶オーナーの間での情報や経営課題の共有と本部経営陣との対話の場の創設
「加盟店の声が経営ににまで届き、必要に応じてオペレーションの改善につながっていく仕組みを早急に構築することが求められていると言えよう。また、同時に、オーナーの間での情報や経営課題の共有も重要である。こうした共有が行われることは、オーナーが店舗における経営課題を見極め、自身で課題解決を進めていく上でも重要であるし、このようなプロセスを経てチェーン内に共通する経営課題を加盟店が把握することにより、本部との対話が建設的なものとなることにもつながる。」
⑷中立的な相談窓口や、実効性ある裁判外紛争解決手続(ADR)の枠組みを業界で整備すること
「本部と加盟店に意見の相違が生じた場合、相談する相手がいないと言う問題も指摘されている。各本部に置いて独立した相談受付の仕組みを設ける事はもちろん、中立的な相談窓口や、実効性ある裁判外紛争解決手続(ADR)の枠組みを業界で整備することも検討すべきである」
以上